都市のポートレート/ミシャ・クバル

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都市のポートレート/ミシャ・クバル

MischaKuball .jpgミシャ・クバルの「都市のポートレート」が、豊田市美術館で開催されている。

静かにミシャ・クバルの作品を見ている間、頭によぎっていたのは、「その事象を理解するためには、事象をもう一つ増やさなければならない」といいうことで、身近な例としては、「物の形を理解するためには、見ているだけではだめで、手を動かしてスケッチする...」といったことなのだが、まさしく、ミシャ・クバルは、自分の意図を伝えるために、巧妙な仕掛けをつくっている。

例えば、店舗に置かれるようなパブリックな照明器具を、家庭というプライベート空間に持ち込むことで、どんな違いが生まれるのか...といった一見 ”まちがい探し”のような作品がある。

このような作品が長方形の展示室の長辺両サイドに数十点並べられている。最初の数点は、律儀にも間違い探しに参加する。上下に並べられた2つの写真を見比べながら、「おっ、この照明を代えたのか〜」「ああ、この家には似合わないな」とか、「前の照明の方がインテリアに合っている」とか...

MischaKuball02.jpg

しかし、10作品目あたりから、見比べる対象が、上下のまちがい探しでなく、実は横並びの各家庭であることに気づかされる。何のコメントのないところに知性を感じる(実は、入口のビデオでそのことを語っているミシャ・クバルを見た後で知ることになる...が、作品の近くではない。このビデオを見ないで作品をまず見た方が良い)。

ブラジルの家庭の多様性を 、家庭に”パブリック”な物を持ち込むことで、いやでも知らされる。仮に、多様なブラジル家庭を映した写真を並べ、それにコメントを加えたのならどうだろう? 目で見、文字を読むだろうが...本質的な理解への距離はまだそうとうあるように思う。

こうした理解への道を、瞬発力を持って強引に突破してしまうのがアートの醍醐味なのだろうが...ミシャ・クバルの術中にはまる。

MischaKuball03.jpg

例えば、幅3m×高さ2mほどの、光沢のある布が垂れ下がり、スライドの光が当てられている作品がある。戸惑うが、人の動きによって揺らめく反射光は、鈍い明かりを周りの壁に投げかける。拡散される観客の影と混ざり合い、不思議な色合いを生み出している。その場にいる”人”が作品だということを、1枚の布によって教えられる。

このような発想によって生み出される作品が、楽しくないはずがない。

ビルをパブリックアートに...しかも、何の公表もせずに静かに淡々とスタートした。

MischaKuball01.jpg
ミシャ・クバル(Mischa Kuball/1959.9.20〜 )
デュッセルドルフ生まれのドイツ人アーティスト。2007年以降は、ケルン芸術アカデミーのメディアアートの教授を勤めている。

◆豊田市美術館の展覧会のサイト
http://www.museum.toyota.aichi.jp/exhibition/2008/temporary/mischa.html

◆ミシャ・クバルのサイト
http://www.mischakuball.com/

ミシャ・クバルの作品を簡単に見てみる

Private Light/Public Light

Private Light/Public Light

  • 作者:Mischa Kuball
  • 出版社/メーカー:Hatje Cantz Pub
  • 発売日:1999/03
  • メディア:ハードカバー
Project Rooms

Project Rooms

  • 作者:Mischa Kuball
  • 出版社/メーカー:Verlag der Buchhandlung Walther Konig
  • メディア:ハードカバー